先物取引


先物取引とは?

先物取引は、売り手と買い手が将来の取引についてあらかじめ決めておくことです。
例えば、小麦を扱う農家が将来の小麦価格に不安をいだき、1年後に収穫する小麦を今すぐに売りたいと考えた時、小麦の先物契約を販売できます。先物契約をパン屋さんが買ったとしたら、パン屋さんは、1年後に小麦を約束された価格で購入できるという仕組みです。

このような先物取引は、価格変動のリスクを軽減し、将来的な供給を保証する手段として利用されます。一方で価格変動を予想して利益を得るためにも先物取引は利用されます。先物契約は公開市場である商品取引所で取引され、取引の透明性と公平性を保証しています。

先物取引のメリット

農家とパン屋さんの先物取引を例にメリットを考えてみましょう。農家(売り手)は、小麦を毎年1回収穫するものの、収穫時期に小麦価格がどうなっているのか分かりません。全国的に方策で小麦の価格が下がると、農家は収益が減ってしまう可能性があります。

パン屋さん(買い手)は、良質なパンを安定的に供給するため、必要な量の小麦を確保したいと考えています。小麦の価格が上昇すると利益が圧迫されるので困ります。

農家とパン屋さんの懸念を解消するために、先物取引が使えます。例えば、「1年後に1トン10,000円で小麦を取引する」ことを約束する契約を結べるということです。先物取引を行うことで、農家は小麦の価格を固定して収入減のリスクを軽減できますし、パン屋さんは将来の購入価格を固定し、小麦の値上げリスクに備えられます。

先物取引のデメリット

もちろん、先物取引にはリスクが伴います。例えば、小麦の市場価格が契約価格よりも高くなった場合、農家は相場よりも低い価格で売らなければなりません。市場価格が契約価格よりも低くなった場合、パン屋さんは相場より高い価格で購入しなければならないということです。

先物取引は価格変動でリターンが生まれる反面、大きな損失を被る可能性もあります。レバレッジをかけて取引をした上で激しい価格変動が重なると、元の投資額を超える損失を被る可能性もあるのです。

ただし、先物取引では取引をより確実にするため、保証金(マージン)を納める制度があります。このマージンもデメリットといえるでしょう。なぜなら、ポジションが不利になると追加の保証金を提供する必要が生じる「マージンコール」という仕組みがあるからです。

例えば、パン屋さんが1トン10,000円で小麦の取引をする契約を買い、2,000円を保証金して納めました。しかし、不作によって小麦の価格が上昇し、1トン1,500円になってしまいました。パン屋さんが買った契約価格と現在の市場価格との差額は3,000円分です。

この損失はパン屋さんが預けた保証金(2,000円)を上回るので、取引所はパン屋さんに対して追加の保証金(3,000円)を預けるように要求するでしょう。これがマージンコールです。資金不足でマージンコールに応じられない場合は、取引が続けられなくなります。

また、基本的に保証金は返却されますが、契約終了時に小麦の価格が1トン1,500円のままであれば、追加で支払った保証金(3,000円)は返金されません。